インプラント治療前に必須!口腔内の健康チェックと改善ステップ

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インプラント治療は、失った歯を補い、噛む機能や見た目を回復させる画期的な治療法です。しかし、この治療が成功するかどうかは、手術前の準備にかかっているといっても過言ではありません。インプラントを長持ちさせ、快適な状態を維持するためには、治療前にご自身の口腔内だけでなく、全身の健康状態までしっかりと確認し、必要に応じて改善しておくことが非常に重要です。

この記事では、インプラント治療を安全に進め、長期的に良好な状態を維持するために、治療前に必ず確認・準備しておくべきことを網羅的に解説します。口腔内の健康状態のチェックから、持病や生活習慣の見直し、さらには手術前後の具体的な注意点まで、インプラント治療を検討されている方が安心して治療に臨めるよう、分かりやすく紹介していきます。

目次

なぜインプラント治療前に口腔内の健康チェックが必要なのか?

インプラント治療を検討されている方にとって、治療の成功は非常に重要な関心事かと思います。インプラント治療は、単に失われた歯を補うだけでなく、顎の骨に人工の歯根を埋め込む外科手術であり、その成功は口の中の健康状態という「土台」に大きく依存しています。そのため、治療を始める前に口腔内の健康状態を徹底的にチェックすることが不可欠なのです。

この事前の健康チェックは、インプラントが長期的に安定して機能するための準備期間とも言えます。口の中が万全な状態でなければ、せっかく埋め込んだインプラントがうまく定着しなかったり、将来的にトラブルを起こす原因となってしまったりする可能性があります。安全で確実な治療結果を得るためには、治療前の準備にしっかり時間をかけることが成功への第一歩となります。

インプラント治療の成功を左右する土台作り

インプラント治療における「土台作り」とは、まさに建物を建てる際の基礎工事に例えることができます。丈夫な家を建てるためには、しっかりとした基礎が不可欠であるのと同じように、インプラントも顎の骨という「土台」に直接埋め込まれ、骨と強固に結合することで安定します。もし、この土台となる顎の骨や、インプラントを支える周囲の歯茎が健康でなければ、インプラントがしっかりと固定されなかったり、長期間機能しなかったりする原因となります。

健全な歯周組織は、インプラントの長期的な安定性にとって非常に重要です。歯周病によって骨が溶けていたり、歯茎が炎症を起こしていたりすると、インプラントを埋め込むための十分な骨量がないだけでなく、手術後の感染リスクも高まります。そのため、インプラント治療を始める前に、口腔内全体の健康状態を整え、万全な土台を築くことが、インプラントを長く快適に使い続けるための鍵となります。

口腔内の問題が引き起こすリスク(インプラント周囲炎など)

もし、口腔内に問題が残ったままインプラント治療を進めてしまうと、さまざまなリスクを抱えることになります。その中でも特に注意が必要なのが「インプラント周囲炎」です。インプラント周囲炎は、天然の歯の周りに起こる歯周病と非常によく似た病気で、インプラントの周囲に細菌が感染し、歯茎の炎症から始まり、最終的にはインプラントを支えている顎の骨を溶かしてしまう病気です。

インプラント周囲炎が進行すると、インプラントがグラグラしたり、最悪の場合には抜け落ちてしまったりする危険性があります。こうなると、せっかく治療したインプラントを失うことになり、再治療が必要になることもあります。このような事態を避けるためにも、インプラント治療を受ける前に、既存の歯周病や虫歯などの口腔内の問題をしっかりと治療し、清潔な状態にしておくことが極めて重要です。

つまり、事前の口腔ケアは、インプラントを長持ちさせ、治療の成功率を高めるための予防策と言えます。口腔内の問題を放置したままインプラント治療を進めることは、不確かな土台の上に高価な家を建てるようなもので、将来的なトラブルのリスクを大幅に高めてしまうことをご理解いただければと思います。

インプラント治療前に確認すべき全身の健康状態

インプラント治療は、失われた歯を補うための優れた選択肢ですが、治療の成功には口の中の健康状態だけでなく、全身の健康状態も深く関わっています。インプラント手術は外科的な処置を伴うため、体の回復力や免疫力が手術の成否やその後の治癒過程に直接影響を与えるからです。

特定の持病を抱えていらっしゃる方や、現在お薬を服用中の方は、インプラント治療を受けるにあたって特別な配慮が必要となる場合があります。どのような持病や服用中のお薬が治療に影響を与える可能性があるのか、次のセクションで詳しく見ていきましょう。

治療に影響する可能性のある持病や疾患

インプラント治療を安全に進めるためには、患者さんの全身状態を正確に把握することが非常に重要です。なぜなら、特定の持病は、インプラントが骨と結合する過程や、手術後の感染リスク、傷の治癒能力などに悪影響を及ぼす可能性があるからです。

具体的には、体の治癒能力や免疫機能、そして骨の状態に影響を与える疾患が該当します。ここでは、インプラント治療を検討する上で特に注意が必要な持病について、その全体像を説明し、続くセクションで個別の疾患について詳しく解説していきます。

糖尿病

糖尿病は、インプラント治療に大きな影響を与える可能性のある持病の一つです。血糖値が高い状態が長く続くと、体の免疫機能が低下し、感染症にかかりやすくなります。また、傷の治りが遅くなるため、インプラントを埋め込んだ後の骨との結合(オッセオインテグレーション)がうまくいかないリスクが高まります。

インプラント治療を受けるためには、まずは内科の主治医と密に連携し、血糖値が安定してコントロールされていることが非常に重要です。血糖値が不安定な状態では、歯科医師から治療の延期や見送りを提案されることもありますので、事前に必ずご申告ください。

骨粗しょう症

骨粗しょう症は、骨の密度が低下し、骨がもろくなる病気です。この病気があると、インプラントを支える顎の骨の強度が十分でない可能性があり、インプラントの安定性に影響を与えることがあります。特に注意が必要なのは、ビスフォスフォネート系製剤(BP製剤)などの骨粗しょう症治療薬を服用している場合です。

これらの薬剤は、稀に顎の骨に副作用(顎骨壊死)を引き起こすリスクがあるため、インプラント治療を受ける前に必ず歯科医師と主治医に服用していることを申告する必要があります。治療計画を立てる際には、服用期間や薬剤の種類を考慮し、慎重な判断が求められます。

高血圧・心疾患

高血圧や心疾患といった循環器系の病気をお持ちの場合も、インプラント治療には注意が必要です。手術中に血圧が変動したり、出血のリスクが高まったりすることがあるためです。特に、血液をサラサラにする薬(抗凝固薬や抗血小板薬など)を服用している場合は、手術時の止血が難しくなる可能性があります。

安全にインプラント治療を進めるためには、かかりつけの内科医と歯科医師が密に情報共有を行い、連携を取ることが不可欠です。場合によっては、治療前に内科医の指示のもとで一時的に薬の服用を調整する必要があることもありますので、必ず事前に全ての服用薬について申告してください。

必ず申告すべき服用中の薬

インプラント治療を安全かつ成功させるためには、現在服用している全てのお薬について、歯科医師に正確に申告することが非常に重要です。自己判断で申告をしないと、思わぬトラブルや合併症につながる可能性があります。例えば、経口避妊薬、動脈硬化や高血圧の治療薬、糖尿病治療薬、抗凝固薬(血液をサラサラにする薬)、骨粗しょう症治療薬、非ステロイド系抗炎症剤、ステロイド薬、向精神薬などがインプラント治療に影響を与える可能性があります。

特に、抗凝固薬は手術中の出血が止まりにくくなるリスクを高め、骨粗しょう症の治療薬(特にビスフォスフォネート製剤)は顎骨壊死という重篤な副作用を引き起こす可能性があります。また、糖尿病治療薬は血糖値の管理に関わるため、手術前後の投薬調整が必要となることがあります。これらのお薬は、インプラントの治癒過程や手術の安全に直接的な影響を与えるため、お薬手帳を持参するなどして、歯科医師に正確な情報をお伝えください。

歯科医院で行う主な口腔内チェック項目

インプラント治療を検討する際、治療そのものにばかり意識が向きがちですが、実際に治療を始める前には、歯科医院で徹底した口腔内チェックが行われます。これは、インプラントが安全に機能し、長期的に安定した状態を保つために欠かせないステップです。口の中全体の状態を正確に把握することで、患者様一人ひとりに合わせた最適な治療計画を立てることができます。

このチェックでは、単にインプラントを埋め込む箇所の状態を見るだけでなく、口全体の健康状態を総合的に診断します。具体的には、レントゲン撮影やCT撮影に加え、歯周病や虫歯の有無、残っている歯の状態、そして噛み合わせのバランスといった多角的な視点から、インプラント治療の成功に影響するあらゆる要素を細かく確認していきます。

歯周病の検査

インプラント治療の成功と長期的な維持において、歯周病の有無は非常に重要な要素です。歯科医院では、インプラント治療を開始する前に詳細な歯周病検査を行います。この検査では、歯と歯茎の境目にある「歯周ポケット」の深さを専用の器具で測るプロービング検査や、歯茎から出血がないか、歯がグラグラしていないか(歯の動揺度)などを丁寧に確認します。

もし歯周病が見つかった場合、インプラントを埋め込む前に歯周病治療を優先して行います。なぜなら、歯周病があると、インプラントの周囲にも炎症が広がり、「インプラント周囲炎」という病気を引き起こすリスクが高まるためです。インプラント周囲炎は、天然歯の歯周病と同じようにインプラントを支える骨を溶かしてしまうため、最悪の場合、インプラントが抜け落ちてしまう可能性もあります。そのため、健康な歯周組織を確保することが、インプラントの成功には不可欠なのです。

顎の骨の量と質の検査(CT撮影など)

インプラントを安全かつ確実に埋め込むためには、顎の骨の状態を正確に把握することが極めて重要です。そのため、歯科医院では「CT撮影」と呼ばれる三次元の画像診断を必須としています。従来のレントゲン写真が二次元的な情報しか得られなかったのに対し、CT撮影では顎の骨の量(高さや幅)や密度、さらには神経や血管の位置まで、ミリ単位で立体的に確認することができます。

このCT撮影によって得られた精密な情報は、インプラントの埋入位置や角度、深さを決定するための安全な手術計画を立てる上で不可欠です。もし骨の量が不足していると判断された場合には、骨造成(骨を増やす治療)が必要かどうかの判断にも役立ちます。これにより、患者様一人ひとりの顎の骨の状態に合わせた、より安全で確実なインプラント治療を実現できるのです。

虫歯や残っている歯の状態の確認

インプラント治療を行う際には、インプラントを埋め込む箇所だけでなく、口の中に残っている他の歯の状態も総合的にチェックします。治療が必要な虫歯があったり、過去の治療で被せ物の適合が悪くなっていたりする歯は、細菌の温床となる可能性があります。これらの問題を放置したままインプラント治療を進めてしまうと、口の中の細菌がインプラントの周囲に感染を広げ、炎症を引き起こしたり、最悪の場合には治療の失敗に繋がったりするリスクが高まります。

そのため、インプラント治療を開始する前に、虫歯があればしっかりと治療し、不適合な被せ物があればやり直すなど、口の中全体の環境を清潔で健康な状態に整えることが求められます。これは、インプラントが長期にわたって機能するために、周囲の環境が良好であることが非常に重要だからです。残りの歯が健康であることは、インプラント治療の成功に大きく寄与します。

噛み合わせの全体のバランス

インプラントは人工の歯ですが、天然歯と同じように「噛む」という機能を果たします。この噛む力をインプラントだけでなく、口の中全体でバランス良く受け止めることが、インプラントを長持ちさせる上で非常に重要です。もし、特定の歯にばかり強い力がかかっていたり、噛み合わせのバランスが悪い状態でインプラントを装着したりすると、そのインプラントに過度な負担がかかり、破損したり、骨との結合が不安定になったりする原因となり得ます。

歯科医院では、インプラント治療の前に、口全体の噛み合わせを詳細に検査し、バランスが乱れている部分がないかを確認します。必要に応じて、既存の歯の調整を行ったり、歯並びを整えたりすることで、噛む力が均等に分散されるように治療計画を立てます。これにより、インプラントだけでなく、残っている天然歯への負担も軽減され、口全体の健康を維持しながら、インプラントを長く快適に使用できるようになります。

口腔内の問題を改善するための具体的なステップ

事前の検査で口腔内に何らかの問題が見つかった場合でも、インプラント治療を諦める必要はありません。多くの問題は、適切なステップを踏むことで改善し、安全にインプラント治療を受けられるようになります。

このセクションでは、口腔内の問題が発見された際に、どのように改善を進めていくのかを具体的にご紹介します。問題点を放置したまま治療に進むことは、インプラントの成功率を低下させたり、合併症を引き起こしたりするリスクがあるため、ご自身の不安を解消し、より良い治療結果を得るためにも、改善に向けたステップをしっかりと理解していただくことが大切です。

最優先される歯周病の治療

インプラント治療を成功させる上で、歯周病の治療は最も優先されるべき事項です。歯周病は、インプラントを支える歯茎や顎の骨に炎症を引き起こし、インプラント周囲炎という合併症のリスクを著しく高めます。インプラント周囲炎は、天然歯の歯周病と同様に、進行するとインプラントを支える骨が溶けてしまい、最終的にはインプラントが抜け落ちてしまう原因となるため、インプラント治療の前に徹底的に治療しておく必要があります。

歯周病の治療では、まず歯石除去(スケーリング)や歯の根の表面を滑らかにするルートプレーニングといった基本的な処置を行い、歯周病の原因となる細菌や汚れを除去します。これにより、歯茎の炎症を抑え、健康な状態に戻すことを目指します。重度の歯周病の場合には、歯周外科処置が必要となることもあります。

歯周病がコントロールされ、口腔内が健康な状態に改善されるまで、インプラント治療を開始することはできません。これは、インプラントを長持ちさせるための重要な原則であり、急がずにしっかりと治療を行うことが、インプラントの成功に直結します。

骨の量が足りない場合の骨造成治療

CT検査の結果、インプラントを埋め込むための顎の骨の量や厚みが不足していると診断された場合でも、インプラント治療を諦める必要はありません。「骨造成治療」という方法によって、骨の量を増やすことが可能です。

骨造成治療にはいくつかの種類がありますが、代表的なものにGBR法(骨再生誘導法)やサイナスリフト、ソケットリフトなどがあります。これらの治療は、ご自身の骨を移植したり、人工の骨補填材を使用したりして、インプラントを安全に埋め込めるだけの十分な骨の厚みや高さを確保する目的で行われます。骨の量が足りないと診断された場合でも、これらの骨造成治療によってインプラント治療が可能になるケースも多くありますので、まずは歯科医師とよく相談し、ご自身の状況に合った治療計画を立てることが重要です。

毎日のセルフケア(歯磨き)の見直しと改善

インプラント治療の成功、そして治療後のインプラントを長期的に維持するためには、毎日のセルフケア、特に歯磨きの方法を見直すことが非常に重要です。単に「歯を磨く」だけでなく、「プラーク(歯垢)を確実に除去する」ための正しい方法を身につけることが求められます。

正しい歯磨きでは、歯ブラシの毛先を歯と歯茎の境目にしっかりと当て、軽い力で小刻みに動かすことが基本です。また、歯ブラシだけでは届きにくい歯と歯の間や、インプラントの周囲には、歯間ブラシやフロス、タフトブラシなどの補助清掃用具を積極的に活用することをおすすめします。これらの清掃用具の選び方や使い方については、歯科医院で指導を受けることができます。

インプラント治療を開始する前から、このような正しいセルフケアを習慣化することで、治療後のインプラント周囲炎の予防につながり、インプラントを長期間良好な状態に保つための土台を作ることができます。

喫煙習慣の改善(禁煙)

喫煙は、インプラント治療の成功率を低下させ、治療後の合併症リスクを高める、非常に深刻な悪影響を及ぼします。タバコに含まれるニコチンは血管を収縮させ、血流を悪化させるため、インプラントと顎の骨が結合するのを阻害したり、手術後の傷の治りを遅らせたりします。また、一酸化炭素は酸素の運搬を妨げ、口腔内の免疫力を低下させるため、感染症にかかりやすくなります。

インプラント治療を検討されている方は、手術の前後、特に手術の2週間前から禁煙することが強く推奨されています。これは、インプラントと骨の結合を妨げないため、そして術後の感染リスクを低減し、傷の治りを促進するために非常に重要です。喫煙は、長期的に見てもインプラント周囲炎のリスクを高め、インプラントの残存率を低下させる大きな要因となります。

ご自身の健康とインプラント治療の成功のためにも、この機会に禁煙に取り組むことを真剣にご検討ください。禁煙が難しい場合は、歯科医師や専門機関に相談してサポートを受けることも可能です。

インプラント手術前日から当日の注意点

いよいよインプラント手術が近づいてきた段階で、どのようなことに気をつけるべきか、具体的な注意点を解説します。手術の成功は、手術そのものの技術はもちろんのこと、手術前日から当日の過ごし方にも大きく左右されます。万全の体調で手術に臨めるよう、心構えと具体的な準備について、この後のセクションで詳しく見ていきましょう。

これらの注意点を事前に把握し実践することで、手術中のリスクを最小限に抑え、術後の回復を早めることができます。安心してインプラント治療を受け、より良い結果を得るために、ぜひ参考にしてください。

前日の過ごし方:十分な睡眠と飲酒の禁止

インプラント手術前日は、心身ともにリラックスして過ごすことが大切です。特に、十分な睡眠をとることは、手術中のストレスを軽減し、術後の回復力を高めるために不可欠です。徹夜や睡眠不足は避け、普段よりも少し早めに就寝するなどして、心身を休ませるように努めましょう。

また、手術前日は過度な運動を避け、アルコールの摂取は絶対に控えてください。アルコールは免疫力を低下させるだけでなく、血行を促進して手術後の腫れや痛みを増強させる可能性があります。万全の体調で手術に臨むためにも、前日は飲酒を避け、静かに過ごすことをおすすめします。

当日の準備:食事、服装、移動手段

インプラント手術当日の準備も、手術を安全に進める上で非常に重要です。まず食事に関しては、局所麻酔のみで行う場合は特に食事制限はありませんが、静脈内鎮静法を用いる場合は、通常、手術の4時間前までに食事を済ませる必要があります。クリニックからの指示をしっかりと確認し、その指示に従ってください。

服装は、体を締め付けないゆったりとしたものを選びましょう。また、顔色や爪の色で患者さんの体調を判断することがあるため、化粧やマニキュアは控えめにしてください。帰宅時は、手術の影響や麻酔の作用が残っている可能性があるので、自分で車を運転することは絶対に避け、公共交通機関やタクシー、またはご家族の送迎を利用するように計画してください。

静脈内鎮静法を受ける場合の注意点

手術への不安が強い方や、一度に複数のインプラントを埋入する場合などに用いられる静脈内鎮静法は、うたた寝をしているような状態でリラックスして手術を受けられるメリットがあります。しかし、この方法を受ける場合には、安全のためにいくつかの厳格なルールを守る必要があります。

特に重要なのが、手術前の食事制限です。麻酔の効果を安全に発揮させるため、手術の数時間前からは絶食となります。具体的な時間はクリニックの指示に従ってください。また、静脈内鎮静法を受けた当日は、麻酔の影響で判断力や運動能力が低下するため、ご自身で車や自転車などを運転することは絶対に避けてください。必ず付き添いの方に送迎を依頼するか、公共交通機関を利用するようにしてください。

手術後の生活で気をつけること

インプラント手術が無事に終わった後は、治癒を早め、合併症を防ぐために術後の過ごし方が非常に重要になります。この時期の過ごし方によって、インプラントが骨としっかりと結合するかどうかが左右されることもあります。

痛みや腫れへの対処、食事内容、入浴や運動の可否など、日常生活における具体的な注意点をきちんと把握しておくことで、術後の不安を軽減し、スムーズな回復へと繋げることができます。

痛みと腫れのピークと対処法

インプラント手術を受けた後、痛みや腫れが生じるのは一般的な経過です。痛みは手術の翌日にピークを迎えることが多く、その後は徐々に引いていきます。腫れについては、手術後3日から4日後が最も強くなる傾向がありますが、こちらも通常は1週間程度で自然におさまっていきます。

痛みが辛い場合は、我慢せずに処方された痛み止めを指示通りに服用してください。また、腫れを和らげるためには、冷たいタオルや冷却パックなどを患部周辺に当てるのも効果的です。ただし、直接氷を当てたり、長時間冷やし続けたりすると、血行不良を引き起こす可能性があるので注意しましょう。

食事・入浴・運動の制限について

手術後の回復を促進するために、食事、入浴、運動には一時的に制限があります。食事は、手術後数日間は傷口に負担をかけないよう、お粥やスープ、ゼリー飲料など柔らかいものを中心に摂るようにしてください。また、手術した側とは反対の顎で噛むように意識し、熱いものや辛いものなどの刺激物は避けることが大切です。

入浴に関しては、血行が良くなりすぎると出血や腫れが悪化する可能性があるため、手術後しばらくは湯船に浸かるのを控え、シャワーで済ませるようにしましょう。激しい運動も血行を促進し、出血や痛みを増強させる恐れがあるため、少なくとも1週間程度は控えるべきです。

喫煙と飲酒は、口腔内の血行を阻害したり、免疫力を低下させたりするため、インプラントの定着を妨げる大きな要因となります。手術後最低2週間は、必ず禁煙・禁酒を徹底してください。

処方された抗生物質や痛み止めの正しい服用

インプラント手術後には、感染予防のために抗生物質が、痛みを和らげるために痛み止めが処方されます。抗生物質は、たとえ症状が改善したと感じても、細菌の再増殖を防ぐために歯科医師の指示通りに全て飲み切ることが非常に重要です。自己判断で服用を中止すると、感染症が再発するリスクが高まります。

痛み止めは、痛みの程度に応じて服用してください。もし、薬を服用した後に発疹やかゆみなどの薬疹が出た場合は、すぐに服用を中止し、速やかに担当の歯科医師に連絡してください。薬の正しい服用は、合併症を防ぎ、順調な回復を促すために欠かせません。

長期的な成功に不可欠なメンテナンス

インプラント治療は、手術が成功すればそれで終わりというわけではありません。インプラントを長期間にわたって快適に使用し、ご自身の歯と同じように、あるいはそれ以上に大切にケアしていくことが非常に重要になります。このセクションでは、インプラントを良好な状態で維持するために不可欠な「セルフケア」と「プロフェッショナルケア」について詳しくご説明します。

適切なメンテナンスを継続することで、インプラントは10年、20年と長期的に機能し続けることが期待できます。これは、インプラントが失われた歯の機能を回復させるだけでなく、長期的な生活の質の向上に寄与する投資であることを意味します。

インプラントの寿命を延ばすセルフケア

インプラントを長持ちさせるためには、日々の適切なセルフケアが欠かせません。インプラント自体は人工物なので虫歯になることはありませんが、天然歯と同様に歯周病に似た「インプラント周囲炎」という病気になる可能性があります。インプラント周囲炎は、インプラントの周囲に付着した細菌(プラーク)によって引き起こされ、進行するとインプラントを支える骨が溶けてしまうため、徹底した歯垢の除去が不可欠です。

効果的なセルフケアのためには、ただ歯ブラシで磨くだけでなく、歯間ブラシやタフトブラシ、ウォーターピックなどの補助的な清掃用具を積極的に活用することが推奨されます。特にインプラント周囲は、通常の歯ブラシだけでは汚れが残りやすいため、これらの補助器具を使って丁寧に磨くことで、インプラント周囲炎のリスクを大幅に減らすことができます。歯科医院でご自身の口腔環境に合った清掃方法や道具について指導を受けることも大切です。

歯科医院での定期検診の重要性

毎日のセルフケアは非常に重要ですが、それだけではインプラントの健康を完全に維持することは難しいのが現状です。インプラントを長期的に安定させるためには、歯科医院での定期検診が不可欠となります。定期検診では、ご自身では確認できないインプラントの状態を専門家がチェックします。

具体的には、インプラントを固定しているネジの緩みがないか、周囲の骨の状態に変化がないかを確認するためにレントゲン撮影や口腔内検査を行います。また、噛み合わせのバランスが変化していないか、インプラントに過度な負担がかかっていないかも定期的にチェックします。そして、専門的な機械と技術を用いて歯垢や歯石を徹底的に除去するPMTC(Professional Mechanical Tooth Cleaning)などのクリーニングも行われます。適切なメンテナンスを継続することで、インプラントは10年から20年以上、95%以上の確率で良好な状態を維持できるというデータもあります。定期検診は、インプラントを長持ちさせるための重要な投資と考えることができます。

まとめ:万全の準備でインプラント治療の成功率を高めよう

インプラント治療は、失われた歯の機能と審美性を取り戻し、生活の質を大きく向上させる素晴らしい治療法です。しかし、その成功は、手術そのものの技術だけでなく、治療に至るまでの準備と、治療後の継続的なケアにかかっているといっても過言ではありません。

治療を安全に進め、インプラントを長持ちさせるためには、まず口腔内の健康状態を徹底的にチェックし、歯周病や虫歯などの問題を事前に解決することが不可欠です。また、全身の健康状態も治療の成否に大きく影響するため、持病や服用中の薬は必ず歯科医師に申告し、必要に応じて主治医との連携を図ることが重要となります。特に、糖尿病や骨粗しょう症、循環器系の疾患がある場合は、より慎重な対応が求められます。

さらに、喫煙習慣はインプラントの成功率と寿命に悪影響を及ぼすため、手術前後の禁煙は必須であり、可能であれば長期的な禁煙を心がけることが大切です。手術後も、処方された薬の適切な服用、食事や生活習慣の制限を守り、安静に過ごすことで、合併症のリスクを減らし、早期回復を促します。

そして何より、インプラント治療は手術が終わってゴールではありません。日々の丁寧なセルフケアと、歯科医院での定期的なプロフェッショナルケアを通じて、インプラント周囲炎などのトラブルを未然に防ぐことが、インプラントを10年、20年と長期にわたって維持するために最も重要な鍵となります。これらの万全な準備と正しい知識をもって治療に臨むことで、安心してインプラント治療を受け、より快適で充実した生活を長く送ることができるでしょう。

 

少しでも参考になれば幸いです。
最後までお読みいただきありがとうございます。

 

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